難しかった医療事務の資格を取得して得たもの素晴らしさに感謝
私は現在都内在住の53歳主婦で、息子が1人います。
転職前は夫婦二人暮らしで、外資系企業に勤めていました。
当時私は40歳で、仕事はやり甲斐がありましたが非常に忙しく、毎日の様に残業続きでした。
もう遅いとは思ったのですが、それでも子供が欲しいと思い、最後のチャンスと不妊治療を始めたのです。
人工授精、体外受精と治療が進んでいくと、毎日通院する必要がでてきて、ホルモン注射の影響で体調不良も感じる様になりました。
そこで思い切って仕事を辞めて1年間不妊治療に専念することにしたのです。
介護ヘルパーの仕事では将来不安に感じて
私は以前に「介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)」を取得しており、不妊治療中は登録ヘルパーとして働きながら、少しでも治療費の足しにしていました。
ところが半年、1年経っても子供は授かりませんでした。
私の年齢的に医師からは「これ以上の治療は勧められない」と言われ、断念することにしたのです。
最初のうちはショックでしたが、主人に「二人で楽しく過ごすのも良い人生だと思うよ」と言われて、段々と落ち着きを取り戻しました。
しかしもう一度外資系企業に再就職してバリバリと働く意欲は既に失せていました。
かと言って、これからの人生ヘルパーで過ごすのも何となく空しいと感じたのです。
フルタイムで仕事ができなくても、もう少しやり甲斐のある仕事はないものかと考えた末に、医療事務の仕事が思い浮かびました。
医療事務は全く未経験でしたが、病気で辛い思いをしている人の為に役立つ仕事をするのはやり甲斐に繋がるものだと思い、資格取得の為の勉強を始めたのです。
通学講座で学んだ医療事務
医療事務の資格を取得するために、まず講座を受講しようと思いました。
多くの人は通信講座で学び、修了試験を受けるのですが、私は比較的時間に余裕があったので、毎日の通学コースを選択しました。
ヘルパーの時の様に大勢の受講者がいると思っていたのですが、通学講座の人数は何とたったの4~5人、少ない時には2人という時もありました。
講師は非常に真面目で厳しく、授業中にラインマーカーを引く位置が違っていると教壇の上から「そこじゃないです!」と言われることもありました。
練習問題を解いている時にはほぼつきっきりで横に立たれていたので、緊張して薬価計算が上手くできずに何度も電卓を叩き直していました。
毎日朝から夕方までフルタイムで受講して、緊張で汗びっしょりになって帰宅する日々が続きました。
思ったよりも難しかった医療事務
医療事務の仕事は医療に関する知識を勉強するものと思っていたのですが、学ぶのは全てレセプトで、はっきり言って数学の問題に近いものがありました。
私は昔から数学が大の苦手で、電卓を使っても中々正解が出来ずに、非常に苦労しました。
医療事務として働く為にはその講座の修了試験に合格すれば良いのですが、折角勉強するのですから全国統一の検定試験である「診療報酬請求事務能力認定試験」まで受けてみようと思いました。
ところが診療報酬請求事務能力認定試験の問題はとてつもなく難しく、合格率も30%程と難関でした。
私は学生時代よりも毎日一生懸命勉強したと思っています。
不妊治療の薬による影響でのぼせやめまいに悩まされ、首や額に保冷剤を巻きつけながら勉強しました。
受験する際には講師を通して申し込むのですが、毎回無表情で授業をこなし、冗談の一つも言わない講師からはじめて「頑張ってね」と言われました。
私は思い切って講師に「先生は1回で受かったのですか?」と訊いたところ、「私は2回目で受かりました」と答えが返ってきました。
そこまで難しいのならば落ちても悔いはないと思い、受験しましたが、その結果はやはり不合格でした。
しかし講座の修了試験には合格できたので、医療事務として働くことはできる様になったのです。
派遣会社登録当日に仕事を紹介されて
ヘルパーから医療事務に転職活動を始めたのですが、今から正社員としてフルタイムで働くのは難しいと思いました。
そこで派遣社員として働くことを選び、登録会に出かけたのです。
その面談の場で、スタッフに「ちょっと待って下さい」と言われて、何事かと思っていたら、そのスタッフは1枚のファックスを持ってきました。
「ちょうど今日入った求人ですが、あなたの自宅から歩いて行ける距離で、好条件ですよ」と言われたのです。
その求人は個人のクリニックで、良く通る道沿いにありました。
木曜日と土日祝日は休みという普通のオフィスではありえない様な勤務日数でした。
申し分ない内容だったので、登録したその日のうちに仕事を決めることができたのです。
医療事務として働いて良かったこと
早速個人のクリニックで医療事務として働き始めましたが、実際には医療機器を掃除したり、医師のアシスタント業務をするのがメインでした。
最初は受付から始めて、少しずつレセプトを教えて貰う様になったのです。
一番恐れていたレセプトですが、患者数がさほど多くなく、最近では全てコンピューターで処理をするので、計算に悩むことは全くありませんでした。
クリニックには私の他にベテランの看護師や事務の人がいて、分からないことは何でも教えて貰えました。
皆家庭がある人達ですのできびきびと働き、家族の都合で休む時でも協力し合っていました。
医師とも皆良好な関係で、適当に冗談を言ったりして和気あいあいとした職場でした。
大きな責任を感じたこと
働いている間は、私は患者さんから「看護師さん」と呼ばれています。
実際にはそうでなくても何となく嬉しい気持ちになります。
但し、患者さんから見れば「絶対的に」頼れる存在でなくてはならない為に、言葉遣いや態度に気を付ける必要がありました。
具合が悪そうな人を見てもあまり共感してしまうと患者さんが不安になり具合が悪くなってしまうので、勤めて笑顔で対応する様に教えられました。
医師でも看護師でもないので、余計なことは言えなく「お大事に」というのが精一杯です。
かと言って冷たい態度は取れず、患者さんの話を聞き、真摯に対応しなければなりません。
医療機関で働く人は、一つ一つの言動に細心の注意を払う必要があることを学んだのです。
その後子供ができて
私は医療事務として働きながら里親の登録をしました。
そして3年後に特別養子縁組で子供を授かったのです。
仕事はどうしようかと迷いましたが、クリニックの人達が「子供が小さい時期はあっという間に終わっちゃうから、小学校に入ったら戻っておいで」と言ってくれたので、辞めることにしました。
クリニックで働くことで、資格やキャリアだけではなく、良い人間関係も築くことができました。
医療事務の仕事は年齢が高くてもできますので、女性は是非取得しておくのがおすすめです。